さんにん

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 アキの顔を正面から見る。いつもは暗闇だけの顔に、一瞬青年のそれが見えた。 「君はアキだよ」  例え、少しぐらい違ったとしても。 「君は、俺の友達だよ」  アキが俯く。涙も出ないくせして、泣いているのかもしれない。 (お前がそう言ってくれるのなら、オレはアキだ。お前の友達だ)  俺は笑う。嬉しくて笑う。  アキが帰ってきてくれた。 (さて、と)  アキは立ち上がる。 (あのオンナはどうすんだ?) 「え?」 (アヤだよ)  今度は俺が俯く。 (少し聞いていたが、お前を守ろうとしてやったんだろ?) 「そうだけど」 (あいつは変な奴扱いされるのを承知で、お前に声をかけて来たんだろう? 良いのか、このままで)  俺は返事をしない。どうしたら良いのかは分からないが、このままで良いなんて思っていない。  アキを連れて、大学へと向かった。アヤと受けようと言っていた講義があった。  教室に入ると、窓際の一番後ろの席に、アヤが一人でポツンと座っていた。  アヤの元へ行こうとすると、緑川さんが話しかけてきた。 「吉成くんじゃん、この授業受けてたんだ」 「う、うん」 (どけ、キノコ性悪女子) 「あ、そういや、昼間大変だったね。見たよ、またタカトウアヤに塩かけられてたっしょ?」 「ああ」 (かけられたのはオレだ)     
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