アキ

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(はるか)、あんたこれから一人暮らしなんだから、きちんと自炊しなさいよ!」  新生活。俺は大学近くのワンルームアパートに引っ越した。 (一人暮らし、だって! 最後までお前の母さん、オレのこと見えなかったなあ!) 「そうだね」  本当は、アキと二人暮らしだ。 「自炊するよ」  小学生の頃、アキと話していたら、一人で笑ってる不気味な奴ってイジメられた。それからは、人前ではあまりアキと話さないようにはしている。  俺が成長するにあたって、アキも大きくなった。それでも、いつも俺よりは背が低い。 (何でかなー、ハルが見つけてくれなかったら、オレはあのまま落ち葉と一緒に風で吹き飛んでたからなぁ。オレなりにお前に気をつかってんのかも) 「何言ってるんだ」  小声で笑う。  今日は大学の入学式だ。午後から授業の説明があると言う。  母さんは入学式だけ出て帰った。自由になった気分だ。 (お前の母さん、オレのこと気味悪がってたもんなあ! 一回、胡散臭い除霊のオッさん連れてきた時は、呆れたぜ) 「まぁ、俺もお前のこと、名前以外未だによく分かってないし。正直な話、お化けなの?」     
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