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(おいおい、冗談はよせよ。お化けとか、幽霊とかじゃないよ。オレはそこにあるもの。お前が見つけてすくいあげてくれたんだ。だから、お前はオレの母さんみたいなもん)
「キモいこと言うなよ」
アキと談笑しながら、授業説明のある教室へ向かう。それにしても大学の教室って、一つ一つがデカイ。建物の中も広いし、移動だけで一苦労だ。
「ここだ」
たくさんの生徒が座っている。近くに座ったもの同士で、既にグループが出来つつあるようだ。つまり、座る席も重要。
さて、こういうグループ分けは得意だ。アキに見て貰えば良い。
(そうだな、あの後ろから三列目の真ん中、ほら、あの黒髪のメガネの大人しそうな奴。まだ一人だし、あいつはどうだ?)
「良いね」
アキの言う通り、黒髪メガネの隣に座る。
「隣、良いかな?」
感じの良い笑顔を作る。
「え、あー、悪いんですけど、友達来るんで」
な、なぬっ!
「あ、そっか、ごめん」
思わず謝ると、気恥ずかしいまま、そいつの後ろ側の席に座った。端から二番目。
小声でアキに抗議する。
「アキの馬鹿。恥をかいた」
(まぁまぁ、でも、良い席のチョイスだ。これなら、後から来た一人の奴が、隣に座るかも)
無論、慌てながらもこれくらいの計算はしていた。誰か来れば、そいつと知り合いか友達になろう。
「すみません」
説明会開始五分前、ギリギリにやって来た。
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