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アキ
「ここ、空いてますか?」
「へ、はい」
隣りに座るその人を、俺は食いいるように見ていた。おっとりとした顔つきに、黒く長い髪の毛。
女 子 だ!
マジか! 女子が隣に座ったぞ! しかもそこそこ可愛い。
(マジか、リア充かもじゃん)
茶化すアキを無視して、配られたシラバスを開きつつ、隣の彼女を横目で見ていた。
話してみたい。
「あのっ」
「はいっ、新入生の皆さん、こんにちは」
声をかけようとした時、説明会が始まってしまった。
くそー、タイミング悪い。
諦め、シャーペンを手に持った。
「何? 今、何か言った?」
彼女の方から、声をかけて来た!
「あ、うん。言った」
(お、行くのか、行くのかー? 頑張れ童貞ハル)
うるさい!
心の中でアキに言い返し、彼女には笑顔を向けた。彼女は俺を見ていなかった。俺の隣の席を見ていた。
隣には、アキが座っていた。
「私は高遠亜夜って言うんだけど、キミ、名前何て言うの?」
目線はアキに向けたまま、おそらく俺に名前を聞いてきた。
「よ、吉成遥」
「吉成くんね、この後時間あるかな?」
(おい、ハル)
アキが俺の肩をたたく。
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