突然のプロポーズ

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 どきりとした。母さんの連れてきた除霊師が言っていた、悪霊の一言よりずっと的を得ているような気がする。隣のアキを見ると、表情を硬くして彼女を見ていた。 「キミも、その存在が何者か、わかってないんじゃない?」  その大きな瞳に、全てを見透かされたようだった。意を決して、今まで誰にも話してこなかったことを話し始めた。もちろん、小声で。 「アヤさん、君の言う通り、俺の隣には、いる」 (おい、ハル止めろ!) 「確かに、彼が何者かは分からない。でも彼は、アキは、俺の友達だ」 「名前をつけているの?」  アヤさんが怪訝そうに、眉をひそめる。 「名前を与えるのはやめた方がいい。明確な存在になる」 「え」  アヤさんの表情から、彼女がアキのことを良く思っていないことにやっと気づいた。だから、アキは警戒していたのか。  しまった、話すべきでなかった。 「あ、えーっと、心配ありがとう。でも大丈夫だよ。アキとは小さい頃から一緒にいるけど、何もないし」 「そんなに前から!?」 「うん。でもほら、俺はピンピンしてる」 「それは、たまたまそれと相性が良かったからよ。何かのきっかけで崩れたら、害をなすものとなる」 「分かったよ。気をつける」  アヤさんはかぶりを振る。 「いいえ、これはあなただけの問題でないのよ」 「どういうこと?」  アヤさんは、表情を変えずに言った。 「私、あなたに一目惚れしたから」     
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