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アキ
いつだって隣にはアキがいた。ある秋の日に、落ち葉から出てきたからアキ。俺がつけた。
アキは俺より少し背が低くて、顔は真っ黒でよく見えない。声からすると性別は男で、白い服を着ている。
よく、一緒にブロックで遊んだ。アキは器用で、ブロックに触れなくても、城や街を作れた。
小学校に入った頃、母さんは意を決したように俺に聞いた。
「ハル、あんた、いつも一体誰と喋ってんの?」
その時もアキと絵を描いていた。母さんには、アキの絵が見えないと言う。
「アキだよ」
「アキって誰?」
「友達だよ!」
「どこの子?」
「いつもうちにいるよ!」
母さんは心底不気味そうな顔をした。
そのことがキッカケかは分からないが、母さんは俺にあまり構わなくなった。弟の雅が産まれたからかもしれない。
ますます、俺はアキとの遊びに夢中になった。
アキと俺は、どこでも一緒だった。
小学校にも、中学校にも、高校にも。
そして、大学にまで。
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