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悪いものたち
「吉成くん、だっけ」
大学の構内を歩いていると、見知らぬ女子達に話しかけられた。
(あのオンナより、こっちのがマトモそうじゃね)
話しかけてきた子は、アヤさんとはまた別のタイプで、明るい肩までの髪の、雰囲気柔らか女子だった。
「もしかしてあたしんことわかんない? こないだ英語の授業で一緒にグループワークしたじゃん」
「ああ、緑川さん」
「そそ! あたし地味キャラだから、覚えられてなくてもしゃーないけど」
「いやいや」
あなたが地味キャラなら、俺はいわゆる陰キャですか。
「いきなりだけど、吉成くんってタカトウアヤに付き纏われてない?」
「え?」
「あたし高校一緒だったんだけど、ほら、あの子変わってるでしょう。こないだ、桜の公園で塩投げつけられてたとか」
「ああ」
あれは。
「困ってるなら、あたしら西高女子に相談して!」
「え?」
確かにエキセントリックな人だけど、彼女は俺の。
「あ、見てるよ」
緑川さんとは別の女子が指差す方向に、アヤさんがいた。
「いこ! 吉成くん」
「や、でも」
「いーの、遠慮しなくて。あの子高校でも気に入った男子に付き纏ってたんだから! 何かついてるとかなんとか!」
え?
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