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塩降る初デート
「やべえよ、アキ。俺、結婚相手見つけちゃったよ」
(浮かれるのは良いけど、あのオンナ、オレのこと敵視してたぞ。めっちゃ睨んでくるし)
「えー? 大丈夫、大丈夫。俺が説得するって。何てたって、俺のオンナだから」
(浮かれやがって、恋愛経験ゼロのくせに)
「何をぅ」
桜並木を、アキと話しながら歩く。
今日は記念すべき、アヤさんとの初デートの日。桜が咲き誇る公園で待ち合わせだ。その後、映画を観に行く予定。
「あ、アヤさーん」
俺が手を振ると、アヤさんは走ってこちらへ来る。俺に会えてそんなに嬉しいのかなぁ、頬を緩めながら近付くと、
「邪気よ、去れ!!」
いきなり、白いものを力の限り投げつけられた。しょっぱ。塩だこれ。
「え、ちょ、ちょ、アヤさん? 何これ」
「知り合いの能力者に貰った、清めの塩よ。悪いものをはらってくれるの」
「能力者? 悪いものって、もしかしてアキ」
「名前を呼んじゃダメ! 悪霊退散!!」
再び塩を投げつけてくる。結局悪霊って言ってるし。この間の良くも悪くもみたいな見解は何だったんだ。
(このオンナ、バカじゃねぇの)
アキが呆れたように言う。
「アヤさん!」
俺は、アヤさんの手を掴んだ。
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