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まただ。
また、来た。
学校の帰り道、友人とふたり駅前の道を歩いていた小鳥遊エリカは、都合三度目となるそれを体験することとなった。
映像がーー見えた。
決して見えるはずのない映像が。
見えてはいけないはずの映像が。
見えるはずのない右眼が、はっきりと、とらえていたのだ。
「エリカ……どうしたの……?」
ふいに立ち止まり、ぼんやりとどこかを見ているようで見ていないエリカを、友人は不思議そうにのぞき込む。
友人の視界は確かにエリカの右眼を映していたが、それは、偽物。
限りなく本物に近い義眼だが、エリカとしばらく接していれば、それは非常によくできているが偽物にすぎないことがわかる。
動かないのだ。
エリカの右眼は。
右にも左にも上にも下にも。
まったく動かない。
だからエリカとすこし接しただけの人間ならそれと気づかないだろうが、多くの時間をエリカと過ごすような者ーーたとえばクラスメイトなどは、エリカが義眼であることを知っていた。
エリカがこの都市に引っ越してきて以来の友人である彼女も、だからそれは重々承知で。
けれどその友人は、いまだ、知ることはない。
失われたはずのエリカの眼が、今、間違いなくなにかを見ていることを。
それは、今あるこの場所ではなく。
この世界のどこかにあるまったく別の場所なのだ。
「これは……」
エリカの意識は失ったはずの右眼が送ってくる映像に囚われていた。
窓がない。
地下室だろうか?
蛍光灯が不気味に明滅している。
無機質な棚があり、その上に、不気味なモノがおかれていた。
カエルのホルマリン漬け……これはまだマシな方だ。
横に並んだビンにはどう見ても人間の物としか思えない耳や舌、鼻などが並んでいる。
それに、ひときわ目立つ場所にでんっと置かれたあれは……人の顔?
男とも女とも判別のつかない、恐怖を貼り付けた顔が、ミイラ化し、棚に置かれていた。
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