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「相談?
お前が相談なんて珍しいなぁ。
なんだ?」
「あ、いえ、帰ってからでいいのですが」
「そっか」
小鳥遊は急なエリカの言葉に驚き、気にはなっていたようでしばらくそわそわしていたが、それ以上、この場で追及してくることはなかった。
進む。
じょじょに人気が少なくなってゆく。
そんなとき、前方から陰鬱な表情の一団が歩いてくる。
エリカたちはそのまま通り過ぎようとしたが、
「あの……」
そのうちの一人に呼び止められ、足を止める。
「はい。なんでしょう?」
三、四十代ぐらいの女性だった。
バリバリのキャリアウーマン、という風には見えないし、あまり身だしなみに気を使っているようにも思えないから、主婦、だろうか。
彼女以外にも三人の人間がいたが、誰もかれもみな、暗い表情。
特徴的なのは、彼女たちの手にある大量のビラだ。
女性はビラを一枚、小鳥遊にさしだしてきて、
「この子を、見かけませんでしたでしょうか」
と、酷く陰気な声と表情でたずねてくる。
小鳥遊とエリカはビラに視線を落とす。
女の子の写真が印刷されていた。
小学四年生の十歳ということだ。
左目の泣きボクロが特徴的な、愛らしい少女。
大人になったらさぞかし美人さんに成長することだろう。
探しています!
写真の下に、大きくそんな文字が躍っている。
「行方不明なんです、もう、三日も、姿が見えなくて……ケータイを持たせていたのですが、連絡も取れなくて……」
小鳥遊は首をふった。
「すいません……見覚えはないですね」
言いながら、エリカに目で問いかけてくる。
エリカも首をふり、
「もうしわけないのですが、私もお見かけしたことはありません」
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