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男の浪漫
「ちょ、服部さん、いきなり剥かないでください」
「いやだね。俺、こう見えてお育ちがお宜しいのでちゃんと脱がせる派だよ?
船山は着けたままが良いの?」
いきなりの意見の相違。まあね、この件は揉めるよね。
「うわぁ。なんか……ビジュアル的に恥ずかしい。見ていられないです」
船山は照れたように顔を背ける。
ほんのりと桜色に染まる肌がチラリと覗き、弾力を感じるしなやかな艶と甘やかな香りは、わざわざ確認するまでもない。別に変わったことをするわけではないのに、船山が過剰に反応するから、できるだけゆっくりと、見せつけるように指を動かす。
いつも思う。わざわざ無駄なことをしなくて良いのに。
どうせ剥がすんだから、着飾ったって無駄だ。
「こらこら、お前ら俺がいること忘れてないか? お湯の支度をする間くらい待てるだろうよ。」
部屋の主、土井が、ついつい気が急いでしまう船山と俺を嗜める。
着たら脱ぐ。当たり前だ。着飾るのはすなわち脱がす美しさの為だ。そこのところは譲れない。それは不変の真理、男のロマンだ。
「……そのままでいいじゃないですか」
俺に考え方を真っ向から否定された船山は、不貞腐れてテーブルに突っ伏した。
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