第一章 自我を持った

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 君香も自転車で歩道を走りながら、日本全国の他の女子高生たちと同じく、スマホを見ていた。同級生からのメールである。  普段は、危ないから自転車に乗っている時は見ない。  しかし今は学校行事が立て込んでいて、色んなクラブやクラス委員から、確認や問い合わせのメールが送信されてくる。  君香が通う『私立・聖嵐(せいらん)学園』は、生徒の自主性を重んじる教育方針なため、学校行事はなにかと忙しい。  君香は二年生で、もうすぐ三年生になる。夏休みの前に生徒会は引退だ。それまでは引き受けた仕事を全力でこなす。生徒会長であるからには、悔いのない学園生活をみんなに送る義務がある。まずは5月の修学旅行を、盛り上げねば。
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