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だが、そんなメールの中の一つに、君香の目が止まった。
《犯罪心理学研究会 廃部検討について》
というタイトル。そしてメールの差し出し人は。
《犯心研会長・柳真純》となっていた。
犯罪心理学研究会とは、文化系のクラブで、その名の通り犯罪について研究するクラブ活動である。外国人移民が大量にやって来て、日本の治安が悪化、凶悪犯罪件数が爆発的に増加した時に、設立されたクラブ。
設立当初は、社会問題を心理学的観点から合理的に研究し、日本人と外国人移民の融和を考えていこう、犯罪のない社会を実現しよう、というマジメなクラブだったらしいのだが。発起人で顧問だった歴史教師が学校を辞めてしまい、その後は凶悪犯罪を野次馬的に面白がるだけの、ホラー・オカルト・ミリタリーなどのファン、猟奇マニアの集まりになっていった。校内での通称は『殺人鬼クラブ』。
現在の部員は6名。内5名は名前だけの幽霊部員。
実質、犯罪心理学研究会の部員は、会長の柳真純、一人だけだった。
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