第一章 自我を持った

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 さすがに、殺人鬼クラブと陰口を叩かれるようなクラブに、好き好んで入るような物好きは、ほとんどいないということなのだろう。名前を貸している幽霊部員たちは、部費の分け前を貰っているのだ。そもそも今まで存続していたほうが不思議なクラブである。なので、来年度から廃部というのが、本決まりになっていたのだが。そのことについて、会長の柳真純からメールが来ているのだ。  しかし、犯心研の廃部問題について、自分に文句を言われても困る。この問題は学園長と教職員会議で決まったことなのだ。生徒会は関与してない。そもそも生徒会に、クラブを創設したり廃部にしたりする権限はない。学園マンガじゃあるまいし。  柳真純……。たしか同学年の二年生。同じクラスになったことがないので、正直、どんな人間なのかまったく知らない。噂も聞かないということは、目立つ生徒ではないのだろう。しかし廃部に関してわざわざメールしてくるとは、ただ大人しいだけの生徒ではないようだ。いったいどういう用件なのか……?
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