第一章 自我を持った

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 と、君香がメールの文章を読もう、とした時だった。  ガシャン! という衝撃。ズキンッ! と突き刺さるような激痛。  体がフワリと浮き上がり、世界の風景がグルッと回って、溶ける。  直後にガツンッとくる、ダムの壁にぶつかったみたいな、全身の骨にまで伝わる重い衝撃。関節が軋んで、脳天までクワ~~ンと響く。  君香は自転車から投げ出されて、地面に激突したのだ。  上も下も分からない、朦朧とした意識の中。  ボンヤリと『転んだ』のか、と思う。  目がチカチカして、何が起こったのか、よく分からない。  たぶん、何かとぶつかったのだろうけど…………。
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