第一章 自我を持った

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 スマホを見ながらの自転車運転は、マナー違反ではあるが法律違反ではないこと。その通学路では、車道の交通量が多いので、近隣の住民も含めて、自転車で歩道を走るのはありふれた自然な行為だったこと。  そして君香が未成年であったこと。なにより故意ではなく、悪意もないこと。  さらに君香が優等生で、生徒会長も務めるマジメで責任感のある、善良な高校生だ、という同級生や教師たちの証言。  これらが裁判では重要視されて、比較的軽い罪となった。  要するに、避けようのない不幸な事故であった、という結論である。
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