第二章 その瞬間から

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 電波系の変人だ。あんなヤツの言うこと気にするな。  まあ、注意する程度にしておけばいいさ。  と剣道部の晃信と、柔道部の武彦が言う。 「とりあえず、身辺には気をつけておこう。心配なら父さんに言っておくよ」  と海斗が君香を安心させるように、笑って言った。  海斗の父親は弱者の味方をする、人権派の弁護士なのだ。 「不審な人影を見た時は、すぐに言ってくれ。人権団体の人たちに警護に来てもらうから。ボランティアだからお金の心配はないしね。何かあったら、いつでも僕に電話してくれ。駆けつけるから」 「ありがとう。大丈夫よ」  と微笑む君香。  勝雄は面白くないように、チッと舌打ちする。
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