第三章 互いに

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 風がしだいに、鋭利な刃物のような、鋭さを増してくる。  季節は十一月。朝晩は急激に冷え込み、本格的に冬の到来を告げつつあった。  紅葉した葉もほとんどが落ちて、潰れた銀杏も掃除された。  体育祭や文化祭など、学校行事はすべて終わった。  あとは受験だけである。就職組は別として、冬休みはみんな猛勉強だ。  国立を目指している君香も、追い込みに入っている。  あの不幸な事故が起こってから、すでに八カ月以上が過ぎた。  柳真純に不吉な忠告をされたが。今のところ身の周りに変化はない。
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