序章 人類が

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 それまで日本では『決闘罪ニ関スル件』という刑法で決闘を禁止していた。  明治維新以来、仇討ちのような私的な復讐を禁じてきたのだ。  これを政府の管理下でのみ、認めることにした。  エリアを限定して、その範囲内で有罪が確定した加害者を、被害者の遺族が武器をもって攻撃し、殺害することを認めたのである。  しかし、いくら相手が家族を殺した、憎い凶悪犯であっても。  一般人が、いきなり武器で人間を殺すのは、無理がある。  当然、加害者側にも反撃が認められている。でないとただの処刑、酷刑になってしまう。それなら最初から、凶悪犯全員をとっとと死刑にすればいいのだ。  そのため、被害者遺族側は『決闘介錯人』を雇うことが認められた。  そして加害者側には『決闘助太刀人』を雇うことが認められた。  決闘の代行人、事実上、合法的な殺し屋である。  さらにその状況はすべて、ネットで配信されることになった。  凶悪犯罪の抑止と、国民の知る権利のためである。
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