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[あれはね、ポン菓子屋さんよ、お米でお菓子作ってくれるの
出来上がる時に、ぽ~んっていう大きな音がするから
ポン菓子屋さんって言うの」
「ふ~ん」翔が、夢中で見ていると、いきなり大きな音がした。
「うわぁ~吃驚した~」翔は驚いて、理世の傍に走って来たが
「大丈夫、音だけで、何も怖くないから」そう言ってやると
また、窓に戻って熱心に見ている。
何度か、大きな音がした後「理世ちゃん」と、富貴子の呼ぶ声がした。
窓から顔を出すと「ポン菓子あげるから、入れ物を持っておいでよ」と
ポン菓子の入った、大きな袋を見せて言う。
「は~い」理世がポリ袋を持って、下まで降りて行くと
富貴子は、その袋一杯に、ポン菓子を詰めてくれた。
「何て事ないお菓子だけど、懐かしいだろ」富貴子がそう言う。
「はい、これテレビを見ながら食べるの、大好きなんです」
「あはは、私もだよ、じゃ」富貴子は、まだ沢山入っている、大きな袋を
大黒様のように担いで家に帰った。
理世が帰ると「お菓子、貰ったの?」翔が、飛んで来て言う。
「うん、翔ちゃんにもあげるよ」理世は、ポン菓子を小鉢に入れ
「はい」と、テーブルに置いてやると「わぁ~大きくなってるけど
これ、お米なんだね」そう言いながら、一粒づつつまんでは食べている様で
「甘~い、ポン菓子って、とっても美味しいね」と、言う。
「まだ沢山有るからね、私は出掛けるけど、三時になったらまた食べる?」
理世がそう言うと「え?三時になったら、また食べて良いの?」
信じられ無いと言う声で言う「うん、これに入れておくからね」
理世は、もう一つの小鉢にも、ポン菓子を入れて置く。
「わぁ~い」翔は、本当に嬉しそうに、テーブルの周りを
ぐるぐる回りながら「理世、大好き、理世、大好き」と、歌うように言った。
「その前に、私は、お昼ご飯を食べるけど、翔ちゃんは?食べられるかな~」
「うん、食べる食べる」何かも聞かずに、食べると言う。
理世は、オムライスを作り、小さな翔の分も、作ってやった。
爪楊枝に、花のシールを貼り旗の代わりに立てる。
「わぁ~これな~に?」「オムライスって言うんだよ、本当は
旗を立てるんだけど、無いから、お花にしたんだ」「お花?聞いた事有る」
「そう?今度、お花買って来るね」「うん、頂きま~す」翔は
もうスプーンを持ち「わぁ~玉子の中は、赤いご飯だ~美味しいね~」と
一生懸命食べ「ご馳走様、もう、お腹一杯」と、満足した声で言う。
「玉子は知っているのね」「うん、ずっと前に食べたの、また食べたいと
思っていたんだ」「やっぱり」理世は翔が地縛霊になった理由を確信した。
一時前に、千穂が赤い車で迎えに来た。
「じゃ、行って来るね」「行ってらっしゃ~い」翔は、機嫌よく手を振る。
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