自由な国
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自由な国

とある昔、この国にはとある珍しい刑罰が存在しました。 罪を犯したものを、外から丸見えの牢屋に繋げていたのです。 もちろん直接関わりを持たせないよう、その牢屋は少し高めの場所に設置されています。 それに入れられた罪人は手枷と足枷をはめられ、声を出すことも許されず、少しでも身じろぎをすれば鞭で打たれます。 眼下に見えるのは、自由に楽しく生きる国民たちの姿。 彼らは自由に焦がれ、しかし少しでもそれに手を伸ばそうと努力すれば、刑罰が重ねられる。 このシパーレという男も、そんな罪人の一人。 シパーレは、自分の欲望のまま、他人の持ち物を奪っていたので、捕まりこの牢屋に入れられました。 目の前で自由に過ごす人たちを見て、シパーレは心から自由を渇望していました。 この国ではこうした刑罰が厳しい代わりに、国の法を守っている限りは自由に生きることを許されています。 人々は、少なくともただ普通に罪を犯すことなく生きる人々にとってはこの国は自由でのびのびと過ごせる、良い国として周辺の国にも知れ渡っていました。
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