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好美は自分達の状況に嘆く。せっかくマイホームを建てて、もうすぐ待望の赤ちゃんが生まれるというのに、まさかこんな事態になるなんて誰が想像しただろうか。
原因には心当たりがある。由香から貰ったガラガラだ。あれが届いた日から心霊現象が始まったのだ。それ以外は考えられない。
「由香に電話かけてみるよ」
「え?」
「たぶん、この現象はガラガラが発端なんだ。僕はあれを貰った日に声を聞いたからね」
「あっ、昨日電話しようとしてたのってそれを聞こうと?」
「ガラガラが原因なら、あっちの家でも同じ現象が起こってるかもと思ってね。ついでに誰から貰ったのかも聞くつもり」
電話は昼食を食べてからだ。昨日の夜に家を留守にしていた理由は知らないが、今日は休日だからきっと午後まで寝てるはず。僕も予定がなかったら今頃寝てるはずだから、きっと由香達も同じだろう。
午前中は気分転換に買い物に出かけることになった。家でじっとしているより、外に出た方が良い。
今の好美は相当参っている。朝食を作ることすらままならない状態だ。よし、今日は僕が料理をしよう。唯一の得意料理、ほうれん草の胡麻和えをご馳走しようじゃないか。
プルルル……プルルル……プルルル……
スーパーで買った惣菜を食べた後、僕は由香に電話をかけた。呼び出し音が二回、三回と続き、まだ駄目かと思った時『もしもし神崎です』と受話器から由香の声が聞こえてきた。
「良かった繋がった。もしもし」
『その声は修? 何かあった? もしかしてもう赤ちゃん生まれちゃったとか?』
「いやいやまだだよ。それよりさ、貰ったガラガラのことなんだけど……」
『ああ! お礼なんて良いよ良いよ。あれねーフリマで貰ったんだ。ただであげるって言うからさ、必要ないのについ貰っちゃったんだ!』
由香はマシンガンのように早口で話す。テンションが上がるといつもこんな喋りになる。今日はいつになく早い。何か良いことがあったのだろうか。
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