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『まー貰ってすぐいらないって思ったから、その日の内にて段ボールに入れて、次の日の朝一で送っちゃったんだけどね。よく考えたらまだ生まれてないのに早すぎたね! あっはっは!』
「その、フリーマーケットの人、変な物売ってたりした?」
『うん? んーと……確か、珍しいのとか曰く付きと言われる物があったような?』
「曰く付き?」
『そう! これを持ってると呪われますってやつ! でもそれは嘘だわ。本当だったら売ってるその人が呪われてるじゃない』
曰く付きの物を売ってたなんて怪しいことこの上ないが、確かに呪われてまで所有しているのはおかしい。売り出すための宣伝文句と考えるのが妥当だ。
そして、由香の様子から察するに、あっちの家では心霊現象は起こっていないようだ。その点は安心したが、これでこちらの問題が解決したわけではない。せっかく送ってくれたのだが、僕達はガラガラを処分しなくてはならない。売りに出したら犠牲者が増える。ガラガラは捨てるのが一番だ。
「ありがとう由香。お礼はいつかするから。それと、よく知らない人からただで物を貰わないように! 何かあってからじゃ遅いからね!」
『まー次は気を付ける。最近、贈り物に盗聴器が仕掛けられてたとかニュースになってるし、自分の身を守るのは大事よね。あと、お礼はいらないからね』
「僕がしたいんだよ。とにかく、じゃあね! 風邪は引かないように!」
『修ってばお母さんみたい』
誰がお母さんだ。僕はお父さんになるんだぞ。由香との電話を切って、好美のいるリビングへ足を向ける。勢いよくドアを開けると、音にびっくりした好美が怯えた様子でこちらに振り向いた。
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