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となりの犬とぼく
ジョン。
これは、となりんちの犬の名前。
ジョンは大きくて、白くて、ふわふわ。
でも、となりんちの犬なんで、触ったことはなかった。
「おーい、ジョーン」
呼んだって、僕には何の反応も示さない。
「ふーん。ま、いっか」
ジョンがとなりんちに来たのは、十二月のことだった。
となりんちの姉妹へのクリスマスプレゼントだったらしい。
仔犬の頃のジョンは、目元があどけなく垂れてて、黒目がクリンクリンと輝いてて、元気いっぱいで、全身がバネみたいにピョンピョンしてて、真っ白で、もふもふだった。犬種は確か、クバーズだったかな。
となりんちの庭はドックランになっていた。
まわりを白い品のいい金網でぐるりと囲んであって、きれいに刈り込まれた芝が広がっている。緑の天然芝とクバーズの白のコントラストが美しい、そんなお宅。
「それにひきかえ、うちの庭は…何もねぇな」
となりの芝は、間違いなく青かった。
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