毎日お弁当

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次の日のお昼前になると、阿部も五十嵐も用もないのにかすりの近くで電機関係の本をめくったりしてお昼を告げるベルが鳴るのを待っていた。 ベルがなると一斉にかすりの横の長机の椅子に座る。 「今カレー持ってきますからちょっと待っててくださいね。 五十嵐くん、ご飯をチンしてくれる?」 五十嵐は「ウッス」 と言って食堂代わりの部屋へ皆のごはんを持って行った。 実はかすりはフライングをしてお昼になる少し前に給湯室のコンロでカレーを温めていた。 莉子もやってきて冷蔵庫の中から密閉容器とドレッシングを出している。 それぞれがそれぞれ担当しているものを持って長机に集まると、一人阿部がおとなしく座っている。 それがまるで母親の言いつけを聞いて待っている子供のようで可笑しくて、みんな申し合わせたかのように一斉に吹き出した。 一人訳がわからずに戸惑う阿部の姿が余計に可笑しかった。 「何?何?」 「いや、なんでもないッス。」 「何でもない、何でもない。」 「冷める前に食べましょう。」 阿部は何で笑っているのか気にはなったけど、鼻をくすぐるいい匂いの誘惑には勝てずに、「何だよ……。」と一人呟いてその場を流した。
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