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最初の方はしょっぱい卵焼きで、あとからの方は甘い卵焼きなのだ。
つまりは、母はお弁当をマサさんという人に食べさせていて、その人がしょっぱい玉子焼きよりも甘い卵焼きが好きだということだろうか……。
祖母は友達と一緒にお弁当を食べると言っていたって言うけど、マサさんって男?女?
本当にただの友達?
ページをめくればめくるほど料理への真剣さが伝わってきて、普通の友達と一緒に食べるためだけに作っているとは思えなかった。
色々考えて、かすりはある一つの仮説を思いついた。
母はマサさんという男性と一緒に母の作ったお弁当を食べるようになった。
母は大学在学中に妊娠した事を考えると、お弁当が先かどうかはわからないけどその人と付き合うようになってお腹ににかすりが宿ったと考えられる。
だとしたらあの卵焼きの味付けは私のお父さんの好みってこと?
二人は駆け落ちしたけど何らかの理由で別れることになって、でも母はマサさんを思い続けて甘い卵焼きを作り続けた?
そういえばかすりは両親が離婚した理由を聞いたことがない。
祖母は知っているのだろうか……?
考え込んでいると、部屋のドアをノックする音が聞こえた。
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