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「今日は天ぷら揚げようと思うんだけど、それでいい?」
「はい。」
天ぷらの材料はじゃがいもと竹輪、かぼちゃ、大葉、さやいんげん、椎茸、など、家で採れるものを中心としている。
かすりは材料を切って軽く小麦粉をまぶすと、先に作っておいた衣の液に入れて祖母に渡した。
それを祖母が順番に揚げていく。
天ぷらは揚げたてが一番美味しいから先にテーブルに漬物や箸を並べて、祖母が作っておいてくれた味噌汁を天ぷらの揚げ具合に合わせて温めると、てんぷらが揚げ終わるのと同時にご飯をよそって並べた。
祖母が勝手口の方へ向かって、
「おとーさん。
できたよー。」
と大きな声で話しかけた。
外を歩く足音が近づいてきて、
「今行く。」
外水道の水の音がしたと思うと、勝手口から祖父が入ってきた。
祖父は雨の中田んぼの水を見に行っていたのでずぶ濡れになった頭を、勝手口近くに置いてある洗ったタオルを1枚とって体を吹きながら上着だけを脱いで洗濯機に入れに行った。
「いやーひどい雨だ。」
「傘ささなかったの?」
「差したけど水のバルブが固くて両手で締めないといけないから傘がさせなくて。」
「ああ、大畑の方ね。
あそこ1回見てもらった方がいいかね。
お父さんは力があるからいいけど、わたしは中々開かなくって。」
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