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「あの……。」
「なに?」
「それで、その人達が田植えとか稲刈りをやってみたいって言ってたんですけど、少しだけやらせてもらうことってできますか?」
祖父母が顔を見合わせたのを見て、かすりはいけないことを言ったかとドキドキした。
「そんなん、日程は米次第だから合わせてやれねぇけど、勝手に来ていくらでも刈ればいいさ。
少しでもやってもらえればうちとしちゃ助かるよ。」
祖父が味噌汁を飲み干しながらそう言った。
「かすりも知ってるだろうけど、機械で出来ない四角とか端っこはやってもらえると本当に助かるよね。
私らももう年だから、楽することばかり考えちゃってさ。」
祖母はハハハと豪快に笑った。
かすりはホッとして、
「良かった。
みんな喜びます。」
そう言うと、お茶を一口飲んだ。
「稲刈りでも田植えでも、芋掘りでも、何でも好きに来てやりな。
畑は沢山余ってんだから何か作ってもいいんだし。」
「そうなんですか?」
「そうだよ。
畑が沢山あるのはありがたいんだけど、二人じゃ全部は使えないし、荒らしとくと注意されるから管理はしなきゃいけないし、大変なんだよ。」
「そうなんだ……。」
かすりは農家の苦労を垣間見た気がした。
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