キラキラバナナパフェ

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「今日イガちゃんは直帰じゃないですよね?」 「多分お昼過ぎには戻ると思うよ。 なんで?」 「今日草餅持ってきたので食べるかなと思って。」 「草餅??」 かすりはタッパーの蓋を開けて中を阿部に見せる。 「これ作ったの?」 「はい。 前に作ったのを冷凍しておいたんです。」 「凄いね。」 「阿部さんも良かったらどうぞ。」 かすりはタッパーを阿部の方へ近づけて、別のタッパーを2つ出した。 「それ、中に何も入ってないんですよ。 だからあんこときな粉を持ってきたので好きに付けて食べてください。」 「うわー、迷うな。」 草餅沢山あるので沢山食べてください。 阿部は嬉しそうにお弁当箱の上できな粉をスプーンで振りかけた。 「うまぁーーー。」 そう言われるとかすりは嬉しくて目を細めながら持ってきて良かったとしみじみ思った。 阿部の感激の声に周りにいた人が数人集まった。 「草餅?」 「はい。 よかったらどうぞ。」 一人が美味しそうに食べてからポケットに入っていた小銭をかすりの茶筒に入れる。 「高橋さん、いいですよ。」 かすりがそう言うと、高橋はニコッと笑って、 「うまかった。」 それだけ言って行ってしまった。 他の社員もそれに倣って次々とお金を入れていく。 「本当にいいですってば。」 かすりは慌てた。 「イヤさ、ずっと阿部ばっかりずりぃなーって思ってたんだよね。 俺も食いたいなーって。 だから嬉しいんだ。 本当に小銭だけだからとっといてよ。」 そう言われるとむげに断ることは出来ない。 「そんな……大したものじゃないのに。 すみません。」 みんなが外に出るのと入れ違いに五十嵐と莉子が会社に戻ってきた。
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