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外に出るとかすりは阿部の白いRV車の助手席に乗り込む。
座席が高いので、慣れていないかすりが乗り込むのに戸惑っていると、阿部が運転席から手を伸ばして引き上げてくれた。
「すみません。
お願いします。」
「どーすっかなー。」
急に阿部が困ったような声を出した。
「どうしたんですか?」
「イヤさ、俺、作業着だから会社で着替えて行こうと思ったんだけど、なんか勢いで出てきちゃったからさ。」
「ハハハハハハ……。」
「ちょっと着替えちゃっていい?」
「ここでですか?」
「そう。」
かすりの返事も聞かずに阿部は作業着の上を脱ぎ始めた。
「私外に出てますか?」
「イヤ、とりあえずこれでおしまい。」
「えっ?」
「本当はTシャツとズボン持ってきたんだけど、仕方ないからこれでいいや。」
阿部は作業着の紺のズボンに、作業着の下に着ていた黒いTシャツ姿になっている。
確かにスラックタイプの作業着は上を脱げばそんなに気にならない。
それから阿部は車を走らせ始めた。
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