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次の日、軽トラで会社にあらわれた社長と専務は、駐車場の一番奥にある大きな倉庫の床にブルーシートを敷くように言った。
大きなブルーシートが何枚も床に並べられる。
一番手前のビニールシートの四隅を4人で持ち上げると、軽トラに敷いてあるビニールシートを持ち上げて沢山の梅を落としていった。
熟した梅の甘い香りが倉庫内に広がる。
すべておろし終わると、専務の代わりに男性社員が軽トラの助手席に乗って、社長とどこかへでかけていった。
「じゃあ皆さん、今年も梅干し作りよろしくお願いします!
もう毎年のことなのでわかっているとは思うけど、まずは傷んだ梅を外すのと、ヘタをとる作業をお願いします。」
専務がその場にいた社長に気合の入った声で言うと、集まった社員がそれぞれ慣れた様子で動き出した。
「あの……私はどうしたらいいですか?」
莉子に聞くと、莉子はたくさん積まれたコンテナを指さした。
「あそこにあるコンテナを一人一つ持って梅の周りに集まるの。
それで竹串でヘタを取ってそのコンテナに入れるんだけど、悪くなってたり、凄く汚かったり割れてるのはその時に外してビニール袋に入れてね。」
そう言ってコンテナのところへ歩き出した。
コンテナの隣にはいつの間にか竹串とビニール袋が置いてある。
「そうだ!
その前にやることがあるんだった。
かすりんちょっと会社の中に戻るよ。」
そう言って会社に向って歩き出した。
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