全員出動!梅干し作りはじめ!! ー前編ー

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「新島莉子、いるのはわかってるんだ。 おとなしく出て来なさい。」 莉子が凄いスピードで振り返る。 「なんですか?」 莉子は完全に警戒した顔をしていた。 「明日かすりちゃんとラーメン食べに行くんだって? とぼけたってネタはあがってんだよ。」 「阿部さん、何キャラ?」 「いや、なんとなく刑事風に言ってみた。」 「阿部さん似合わない。」 莉子はその場で大笑いした。 「そっかな……。」 阿部は少し恥ずかし気にしている。 「で、何ですか?」 「いや、明日かすりちゃんとラーメン食べに行くって聞いたから俺も一緒に行きたいと思って。」 「阿部さんがご馳走してくれるんならいいですよ。」 「何ーー!! いいよ。」 阿部はあっさりと条件を飲んだ。 「ヤッターー。 かすりん、明日は阿部さんのおごりだよ!!」 「ヤッターー。」 盛り上がる2人に混じって五十嵐も喜んでいる。 「なんで五十嵐が喜んでんの?」 3人の視線が五十嵐に集まる。 「俺も混ぜてくださいよ。 どうせ俺は梅干しが終わるまで外には出してもらえないんだし……。」 五十嵐が寂しそうに言うので、阿部は小さく笑った。 「いいよ。 みんなで行こう。」 「やった!!」 「明日はカレーじゃなくてラーメンの会だね。」 「カレーって聞いたらカレー食べたくなるよな……。」 「早くやりたいっすね。」 「次は何カレーにしようかな……。 夏だから夏野菜カレーかな……?」 かすりのつぶやきに阿部がすばやく反応した。 「いいね。 夏野菜カレー。」 「早くやりたーい。」 「いつにしますか?」 かすりを除く3人が勝手に盛り上がる。 「あのー……。 次のカレーの会はもうちょっと待ってもらえますか?」 盛り上がっていた3人の動きが止まった。 「なんで?」 莉子がかろうじて声を出す。 「まだいつ行くか決めてないんですけど、祖父母の家に行けば野菜がもらえるんですよね。 別にスーパーのでもいいんですけど、やっぱり新鮮なのが一番おいしいから……。」 「なんだ、そういう事か。」 阿部が安心したように言った。 「毎月行ってるんで、行く日が決まってからでもいいですか?」 「そういう事なら、ねえ。」 莉子の言葉に阿部と五十嵐がうなずく。 「じゃあ後で連絡しますね。 私今日はもう帰ります。 早くお風呂に入りたくて……。」 「確かに汗かいたよね。 私も帰るわ。」 「俺も。」 梅干し担当だった莉子とかすりと五十嵐は阿部を置いてそれぞれ帰っていった。
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