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かすり達がお昼を食べ終えた頃に、現場帰りにお昼を食べて戻ってきた社員たちが続々と戻ってきた。
今まではみんなまっすぐ給湯室の奥にある非常階段でたばこを吸ったり歯磨きをしていたけど、最近は戻るとまっすぐかすりの机へやってくる。
「ただいまー。」
「お疲れ様です。」
長机に座るかすりたちに挨拶をすると、かすりの机の上にある駄菓子を選んでいる。
「今日は何にすっかなー。」
「冷凍庫にポッキンアイスもありますよ。」
「マジで?
じゃあ俺それにする。
それって半分に折って食べるやつでしょ?」
「そうです。」
「誰か俺と半分こしねぇ?」
そう言って近くに居る人を見渡す。
「俺、食べます。」
「オッケー。
今日は俺払うから次はお前買ってね。」
そう言うと小銭をランチョン箱に入れて二人で給湯室へと消える。
「俺、これ好きなんだよね。」
次に来た人が選んだのはきなこ棒。
「昔はさ、箱にこれがそのままズラーって並んでたんだけど、今は一個一個包装してあんだね。」
「そうなんですよ。
だから当たりは無しです。」
「おっ、よく知ってるね。
刺さってる楊枝の先が赤いと当たりでもう一本もらえるんだよね。」
そう言って懐かしそうに笑った。
「俺はさ、このヨーグルトみたいなヤツ好き。」
「俺はUFOみたいな形でカステラにチョコがコーティングしてあるやつが好きだったな。」
いつの間にか好きな駄菓子の話で盛り上がっている。
「阿部さんはどのお菓子が好きでした?」
「俺?
俺は、そうだな……。
サクラ大根?」
「サクラ大根ありましたね。
カップに入ってるやつ。
結構渋いですね。」
「そうそう。
かすりちゃんは?」
「私は、水を入れるとジュースになる粉が好きでした。」
「メロンソーダとかのやつね。」
「そうそう。
なんか魔法使ってる気分になるんですよね。」
かすりは言いながら自分で笑ってしまう。
「俺、チロリンチョコ。
特にミルク味が好きだったな。」
今来た人がそう言う。
「ミルク味はちょっと大きいんですよね?」
「こうやって話してると駄菓子もいろんな種類があるよね?
今も安定的に人気があるのはかすりちゃんの机の上にあるやつって事かな?」
「そうですね。
どれも近くのスーパーで売っていましたからね。」
「ねえ、駄菓子の人気投票しない?」
話を黙って聞いていた莉子が突然口を開いた。
「人気投票ですか?」
「今も昔も愛されるお菓子って気にならない?」
「確かに……、面白そうですね。」
「ただやったんじゃつまんないからトトカルチョしよーぜ。」
35才、落ち着いた雰囲気で実年齢よりもいつも上に見られるのが悩みの遠山が提案する。
「参加する人から100円くらい徴収して、どれが一番人気か当てんの。
で、流石に現金配当すっとまずいから、当たったら掛け金で買えるだけ一番人気の駄菓子を買ってそれにかけてた人で山分けすんの。」
「面白いかも。」
「でも社長の許可取らないとまずいですよね?」
莉子が心配顔で言うと、
「俺も参加する。」
と言いながら社長が食堂から出てきた。
「ヨッシャ。
じゃあ駄菓子の選定方法とか詳しいやり方考えようぜ。」
遠山はそう言うとかすりの机に座り込んだ。
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