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全てを闇が覆っていた。日は沈み一切光の無い世界。
「どう? 考えはまとまった?」
ポゴが言った。
「考えもなにも。……この状況、どうまとめろってんだ」
苛つき気味に両手を広げるごんぞ。
「こいつは偽物だったんだぜ」
ごんぞとポゴの視線の先にあるのは、転がったヨッタの姿。調子に乗って引き殺した結果だ。
「どう考えてもボクらの勘違いだったね」
ポゴはヨッタと似顔絵を交互に見つめている。
似顔絵に写るのは大きなアフロの男。しかし目の前のヨッタの髪型は、ボサボサの黒髪だ。
「騙されたよこのカツラにな」
地面に転がったカツラを広い上げるごんぞ。
「こんなもん被ってたら、誰だって騙されるだろ」
全ては責任逃れの台詞だ。自分は悪くない、そう言い聞かせている。
そんなごんぞの姿をポゴは覚めたように見つめている。
「だったらその流れでまとめたら?」
淡々と投げ掛けた。
「はぁ?」
怪訝そうに視線を向けるごんぞ。
「本部が送ってきた手掛かりって、この似顔絵だけでしょ?」
ポゴがかざすのはあの似顔絵。
「ああ。だから苦労した」
こくりと頷くごんぞ。今回の任務は、最初から手掛かりが少な過ぎた。渡されたのはこの似顔絵一枚だけだ。
「こいつにそのカツラ、被せてみなよ」
「被せろって、おめー」
「グダグダ言わずに」
「ったく。分かったよ」
こうしてごんぞは、ヨッタの頭にカツラを被せる。
「……これだもの間違えるわな」
カツラを被せると、その見た目は似顔絵そっくり。これでは誰だって間違いを犯すだろう。
「だからそれを、間違いじゃなくするんだよ」
「はぁ?」
ひとときの沈黙。呆然と視線を向けるごんぞに対してポゴは堂々した表情。
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