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心からの叫び。それと同時に映美の視界がまばゆい光に包まれ……いつしか映美はあの黄金色の宇宙の中に居た。そして、果たしてそこにはカーラの姿があった。
『映美さん!』
「カーラ!」
星屑を蹴って浮遊し、映美とカーラは互いの手と手を握り合った。魂と魂が出会うこの景色の中では、カーラも本来の姿で現れることができる。目を赤くしたカーラのきらきらとした笑顔を映美は確かに見た。
『ありがとう映美さん……。あの時、私は気持ちが動転するあまり影の中の深層に入り込んでしまい、自らの意思で浮き上がることができなくなっていたのです。でも、映美さんの思いが私をここまで引っ張り上げてくれました』
「居なくなったわけじゃ……なかったんだ……うっ」
張りつめていた映美の顔がふにゃっと綻び、瞳がまた潤み始める。
「良かった!良かったよぉ~」
映美はカーラの胸に飛び込み、彼女の香りとぬくもりの中で泣いた。カーラはそんな映美の頭を心から慈しむように撫で、自らも確かめるようにぎゅっと抱きしめた。
『……私も、良かった』
喜びのままにしばらく抱き合ったふたり。今なすべきことはお互いにわかっていた。
「カーラ、いきなりだけど……行ける?」
『ええ。戦いましょう、映美さん。私たちふたりで!』
黄金色の宇宙の外では、今まさにティーンの剣が映美を切り裂かんとしている。この危機を脱するには、人とシャドーの力を結集するより他にない。今こそ合身の時、映美とカーラはぴったりと寄り添ったまま、声を合わせて唱えた。
「シャドーアップ!」『シャドーアップ!』
たちまちカーラの魂が映美の魂を包み込み、その体と装束を伝説の戦士へと変じさせる。シャドーメイトの絆の結晶、カゲトモ=エミカーラ再びの登場である。
映美を一刀の下に切り捨てたものと確信しかけたティーンは、その映美の体がまばゆい閃光を発して白刃を跳ね返したことに驚いた。
「何……だとぉ!?これはっ!」
それはティーンからすれば一瞬の出来事。たった一瞬のうちに、映美はカーラと合身しエミカーラへの変貌を遂げていた。凛とした乙女の眼差しに射られ、ティーンの身が竦む。
「くっ……居るではないかシャドーの女!ええいままよ!」
破れかぶれでティーンが宇宙剣を振り下ろす、袈裟切りの軌道を描くその剣閃は、エミカーラにとってはスローそのもの。腰を捻ってたっぷり溜めを作り、エミカーラは上段回し蹴りにてそれを真っ向から迎え撃った。
「やあっ!」
ブーツの脚が白熱化した宇宙剣とぶつかり、火花がスパークする。エミカーラは力を込めて強引に脚を振り抜き、刀身を粉々に打ち砕いた。
「がっ!!」
強烈なキックは剣のみならず持ち主の右腕にも衝撃を与えた。ティーンは動かなくなった右腕を押さえ、慌ててジャンプで距離を取った。その耳に装着した通信機に、母艦に居るダン・ヴィーライからの通信が届く。
「いけませんなぁ二代目、オーブ捜索隊を放り出して寄り道などなさるから。まあ、戦闘となったからには仕方ありますまい。デビルメカを使われるがよろしいかと」
ダンの声には呆れた調子に少し笑いが混じっており、ティーンは忌々しげに応答する。
「うるさい!わかっているよ!だが奴には生半可なパワーでは通用せんからな!」
「左様。デビルアルマーの装甲ですら役に立たないとなれば、多少攻撃や防御に秀でた機体を出したところで無意味……ここは俊敏さで優るデビルパルダーを電送しましょう」
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