第2話 いきなり喧嘩!?共同生活はドキドキいっぱい!

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 ダンがそう告げるなり、ティーンの持つ球体状の端末が発光する。ティーンが左手でそれを操作すると、空間に穴が開いて四つ足のデビルメカが姿を現した。そいつは体のサイズこそ2m弱と小さいが、動物の豹に酷似した獰猛な姿。危険な匂いが漂っている。 「パパも一目置くデビルパルダーか。確かに悪くない選択だ。覚悟しろカゲトモ!ここを貴様の墓場にしてくれる!」  味方を得て再び元気になったティーン。エミカーラはそんな彼とデビルパルダーをビシッと指差し、高らかに宣告する。 「それはこっちの台詞だ!地球の命に仇なす者よ……報いのパンチを受けなさい!」  デビルパルダーが唸り声を上げて跳躍し、エミカーラに襲いかかる。エミカーラはそれを迎え撃つため自らも跳躍の構えを取る。 (奴は小さい……ストロングパンチが芯に入れば倒せるかも!) 《待って!用心してください》  カーラの警告が一瞬早く映美の意思を押し留めた。それと同時に、空中ではデビルパルダーが肩口に据えられたジェットスラスターを噴射。急加速してエミカーラに突っ込んで来た。 「うそぉっ!?」  エミカーラは慌てて腕をクロスして防御。そこへデビルパルダーは渾身の爪の一撃、エミカーラの腕のガードを一発でこじ開けた。 「わわっ」  後方へ倒れかかるエミカーラ。その喉笛を狙ってデビルパルダーが牙を剥く。エミカーラは倒れざまに両脚を繰り出し、デビルパルダーの首を挟み込んでなんとか追撃を阻んだ。 「い、意外と強いぃぃぃ……じゃん!」  エミカーラはそのまま身をよじり、脚でデビルパルダーをぶん投げる。首がもげかねない程のパワーで投げられた筈だが、デビルパルダーは空中で身を翻して悠々と着地し、すぐまた飛びかかって来た。エミカーラも負けじと反撃に出る。 (速いとわかっていれば、やりようはあるんだ!) 《敵が加速するタイミングは私が計ります!3、2、1……今!》  カーラの読み通りにデビルパルダーは再び加速し、一直線に向かって来た。エミカーラはその突撃を紙一重でかわし、すれ違いざまにデビルパルダーの脇腹に蹴りを叩き込んだ。 「カゲトモ・ゼロポイントキック!!」  ボディを軋ませ、デビルパルダーが吹っ飛ぶ。しかしエミカーラの脚には甘い手応えのみが残っていた。案の定、デビルパルダーはスラスターを吹かして空中制動をかけ、難なく体勢を立て直してしまった。 「浅かった……くそぉ、なんて素早い奴だ」  攻撃の隙を突かれてなお、この敏捷な獣は微妙な身体の動きでヒットポイントをずらし、エミカーラの蹴りの威力を殺していたのだ。とは言え、その小柄さと軽装甲ゆえダメージは否めないらしい。ティーンから指示が飛ぶ。 「デビルパルダー、格闘戦に持ち込ませるな!奴の間合いの外から徹底的に攻めろ!」  その指示を受け、デビルパルダーの目が赤く光る。エミカーラは再び跳躍したデビルパルダーに身構えたが、今度は少し様子が違った。デビルパルダーは真っ直ぐに飛びかかっては来ず、斜めに飛んでエミカーラのサイドに回った。 「何だっ?」  エミカーラが反応して振り向くと、デビルパルダーは再び斜め方向へジャンプ。だが今度はスラスターで一気に加速し、完全にエミカーラの視界の外へ出た。標的を見失ったエミカーラが一瞬戸惑った隙に、デビルパルダーは両目に組み込まれたレーザー砲を展開。ガラ空きの背後からエミカーラを狙い撃った。 「ぐあっ!」  赤い稲妻状の光線がエミカーラの背中に命中。焼け焦げるような熱と衝撃に射られ、エミカーラが苦悶の声を発する。
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