第2話 いきなり喧嘩!?共同生活はドキドキいっぱい!

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「そっちか!」  攻撃の来た方へ振り向くも、そこにはもう敵は居ない。今度は右からレーザーが飛んで来て、エミカーラの肩に当たった。エミカーラが痛みを感じて反撃しようとする頃には、またもその視界からデビルパルダーは消えている。 「ぐっ……どこだっ!?」  デビルパルダーに搭載されたジェットスラスターは、何も肩にある前方移動用の二基だけではない。上腕部、肘、前腕部、腹、腰、尾部、脚の各関節部と、至るところに小型のスラスターノズルが備えられており、それらを必要に応じて噴射することで空中を自在に駆け巡ることができるのだ。今、デビルパルダーはエミカーラより3mの距離を保ちつつ、デルタの軌道を描いて飛び回りながらレーザーで攻撃している。その移動速度は凄まじく、エミカーラはその挙動を全く捉えることができないでいる。  またレーザーが放たれ、危うく額に当たるところをエミカーラはすんでの所でガードした。だが防いだ腕もビリビリと鋭い痛みに襲われ、無事というわけにはいかない。加えて、デビルパルダーはレーザーの発射頻度を徐々に上げ始めており、矢継ぎ早に飛んで来る光線をエミカーラは全てその身に受けてしまっている。このままでは危ない。 《映美さん!私がシャイニング・プロテクションで攻撃を防いで間隙を作ります。それに乗じて反撃してください!》  戦いの物理的ダメージは、肉体を持つ映美が受け持っている。見かねたカーラが作戦を持ちかけるが、映美はそれを良しとしない。 (駄目だよ!あの光線を一回防いでもすぐに次が飛んで来るし、第一あのスピードで動き回られちゃこっちのパンチだって当たるかどうか……。ここは何とかしてボクのボルテック・フラッシャーを当てる方法を考えよう!)  合身中の映美の意思で発動するボルテック・フラッシャーは、相手の動きを少しの間完全に停止させられる拘束技だ。しかし映美の体力を大幅に消耗させるため、乱発すれば合身の維持すら難しくなってしまう諸刃の剣でもある。目まぐるしく動き回るデビルパルダーに確実に命中させるべく、心の中で映美とカーラは策を練った。 「ハーッハッハッハッ!どうしたカゲトモ!もう終わりか!?」  遠巻きに眺めるティーンが高笑いで挑発する。それは全く無視して、エミカーラはこの危機を脱するべく行動を起こした。レーザー攻撃が途切れた一瞬のうちに真上にジャンプし、デビルパルダーの描くデルタから脱出したのだ。 「馬鹿め!デビルパルダー、狙い撃て!」  デビルパルダーは一旦停止して射線を上に向け、空中で回避行動の取れぬエミカーラに向けてレーザーを撃って来た。  しかし、その攻撃をエミカーラは甘んじて受け止めた。そして被弾した反動で屋上のフェンスを乗り越え、そのまま落下する。それに追い打ちをかけるべくデビルパルダーが動き出す。それこそが映美とカーラの立てた作戦であった。 《グラウンドに落ちると見せかけて!》 (うん!窓から校舎に……飛び込むっ!)  丁度開いていた2階の窓の桟を掴み、エミカーラは素早く校舎の中に入り込んだ。間もなくデビルパルダーが誰も居ないグラウンドに降りた瞬間を狙い、上からボルテック・フラッシャーを浴びせられればベストだ。エミカーラはすぐに窓の外を窺った。しかしデビルパルダーはなかなか降りて来ない。 「乗って来ないか……だったら!」  だとすれば遮蔽物の多い校舎の中を縦横に逃げ回り、追って来る敵の隙を窺う方針に切り替えればいい。エミカーラは手始めに理科室に入り、敵の来襲に備えた。
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