第2話 いきなり喧嘩!?共同生活はドキドキいっぱい!

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 影の深層に潜っている間、気配や音といったバイタルサインを全て遮断することができるのだとしたら、あのデビルパルダーを出し抜くことも可能かもしれない。 (わかったよカーラ、やろう。こんなとこで負けるなんて絶対に嫌だもん) 《その通りです。私たちの快進撃は、まだ始まったばかりなんですから》  カーラの勇ましい台詞に元気づけられ、映美は腹を括った。一方、二階の窓からはデビルパルダーが顔を出し、エミカーラにとどめを刺さんと今にも飛び降りて来そうだ。 《敵が向かって来たタイミングでこちらは深層に潜ります。私が映美さんの魂ごとエミカーラの体を引き込みますから、どうかそのまま身を任せてください……》 (オッケー、信じてるからね……)  先刻よりエミカーラは作業台の残骸に埋もれたまま動いていない。デビルパルダーの警戒を緩め、レーザーを撃たせないためだ。  そしてなんと、そのカゲトモ・死んだフリは、何より屋上から高みの見物をするティーンに対しててきめんに作用した。 「よし……よしよしよぉ~し!!いいぞデビルパルダー!最早カゲトモは動けん!ひと思いに喉笛を食いちぎってしまうのだぁ!!」  歓喜に沸くティーンの声が、下に居るエミカーラにも届く。その言葉通り、デビルパルダーは窓から飛び出してスラスターを全開にし、エミカーラに向かって一直線に突進して来た。その凶悪な爪がエミカーラを押さえ込もうとしたその時、待ってましたとカーラが動く。 《今です!》  心の中でカーラが映美を後ろから抱き締め、そのまま背後に倒れ込む。ドプン、と昏い淀みに落ち込む音を残して、ふたりは影の中の深層へとダイブした。それと同時に、外ではエミカーラの実体が瞬時に消失。丸く曖昧な影のみを残してその姿を消してしまった。 「何―ッ!?どこへ行ったカゲトモぉ!!」  ティーンが手すりから身を乗り出して叫ぶ。当のデビルパルダーは、標的を見失って緊急減速。そこらの瓦礫をひっくり返してエミカーラを探し始めた。その様子を、エミカーラは深層に揺蕩いながら遠くぼんやりと見上げていた。 (く、苦しい……まるで水の中に潜ってるみたいだ……)  映美という人の肉体をベースとするエミカーラには、深層に留まるだけで強い抵抗が生じてしまう。ここに居られる時間は数十秒と無いだろう。 《あと少しで完全に不意を打てます……映美さん、頑張って!》 (が、がんばるぅ~……ぐぐぐっ)  水面下からの景色のように、デビルパルダーの前足が真上にかかるのが見える。映美は体が浮き上がりそうになるのを懸命にこらえ、今少しを待った。そして遂に、デビルパルダーの顎が完全に視界に入った。 (こ・こ・だぁ~~~~~~っ!!)  カーラの待ったはかからない。映美は拳を突き上げ、深層から一気に浮上した。それと同時にエミカーラも再び外界に出現。デビルパルダーが今まさに踏んでいる小さな影より勢いよく飛び出し、その顎をアッパーカットでかち上げた。 「カゲトモ・ストロングアッパー!!」  この奇襲にはさしものデビルパルダーも対応できず、電子頭脳をゆさぶる一撃をもろに受けてしまった。その五体が跳ね上げられて宙に浮き、頭部から火花が散る。 《映美さん焦らないで!確実に動きを止めましょう!》 (わかってる!いくぞっ、ボルテック・フラッシャー!!)  エミカーラの差し伸べた右手から発せられた虹色の光が、渦となってデビルパルダーを飲み込む。その強烈な念動力はデビルパルダーの精緻な内部機構の一切を停止させ、木偶も同然の死に体と化して地上に落下せしめた。
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