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【 嵐の日 】
怒りと悔しさと後悔とで眠れなかった。薄暗くて体内時計で時間を計れない洞窟は、だらだら眠りを誘う。朝食の時間だとサイネスに呼ばれなければ、一日ベッドでゴロゴロしてそうだった。
六人全員で適当に喋りながら食事を摂るのが、ここ最近の見慣れた光景になってきていた。当然、アランもテーブルについている。椅子に座ろうとしたカイルに話し掛けてきたのはローランドだった。
「おはよ。よく眠れた?」
充分睡眠が足りてるんだろう、朝から満面の笑みを浮かべてる。王宮での変化は無いけれども分刻みで埋め尽くされた退屈ながら緊張の連続が続く日常から抜け出せた、束の間の開放的な生活が楽しくて仕方がないのだ。
政務といった場面に限らず、命を狙われ、陰謀に足元を掬われないよう気を張らずに済む島での生活で生き生きしてる様子に、ローランドを国王に仕立てたいカイルは複雑な思いだが、楽しそうにしててくれるのは単純に友達として嬉しい。フェリスも同じように考えているのか、苦笑していた。
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