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ラブストーリーと嫌なことはいつも突然にやってくるのよ。ボストンにいた頃、クラスで一番の人気者だったレベッカが、彼氏のエノンと別れた時にそう言っていたもの。
いよいよ翌日にママが一時的にだけど退院するっていう日、暗くなるまで森の外れでオーガストとショゴスと三人で遊んでいたの。それでお家に帰ったら、パパが真剣な顔で電話をしていたの。
「なんですって?!バスがいったいどうしたって言うんですか?!ええ、すぐにそちらに向かいますから!」
そう言って電話を切った後、パパはわたしとオーガストにこう言ったの。
「今、療養所から電話があって、ママの容態が急に悪くなったみたいなんだ。パパは今からアーカムに行ってくるから、エイプリルとオーガストはお家で待っていてくれないか」
そういってパパは自動車に乗ってアーカムに向かったの。
わたしはポロポロと涙をこぼしながらオーガストに手話で説明をしたわ。オーガストは涙を流しながら子供部屋へ駆け込んでいったの。
ポリアンナはどんなことが起きても「よかった探し」をしてたけど、こんな状況でのわたしの「よかった」は、その後に食べたおばあちゃんのクソ不味いシチューがなんの味もしなかったことぐらいね。
あまりにも突然の悲しいできごとに、わたしはパジャマに着替えるのもすっかり忘れて、青いワンピースを着たまま眠ってしまったの。そして事件はその晩に起きた。
夜中にオシッコがしたくなって目が覚めにゃったの。そしたらわたしのとなりで泣きながら眠っていたオーガストがいなくなっているじゃない!
慌てておばあちゃんを起こしておばあちゃんと二人で捜したんだけれど、オーガストの姿はお家のどこにもなかったわ。
わたしはもしかしたらと思っていつも遊ぶ森の外れに行ってみたの。そしたらそこにはオーガストの松葉杖が落ちていたの。
わたしは大きな声でオーガストの名前を叫んだわ。オーガストの耳が聞こえないってこともすっかり忘れてね。でもわたしの声は夜の森にむなしく響くだけだった。
それからショゴスのことも呼んでみたの。もしかしたらオーガストの居場所を知ってるかもしれないと思ったから。だけど結局オーガストもショゴスも見つけることはできなったの。
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