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魔女の家の悪夢
オーガストの松葉杖を拾うと、わたしは一目散にお家に戻ったわ。わたしは泣きながらおばあちゃんにそれを見せてこう言ったのよ。
「これが森に落ちていたの。いつも遊んでる森に」
おばあちゃんは目玉が落ちそうになるくらい目をひん剥くと、声を荒げてわたしに言ったの。
「おまえたち、あの森に入ったのかい?あの呪われた森に!」
しまった!森で遊んじゃいけないっておばあちゃんからキツく言われていたのを忘れていた。だけど今はそんなことよりもオーガストの方が心配だった。
「聞いて、おばあちゃん。あの……」
言い訳をしようとした矢先におばあちゃんの強烈なビンタがわたしの右のほっぺたに炸裂した。
「いったーい!ちょっとおばあちゃん、パパにだってぶたれたことないのよ!最後まで話を……」
いたたたたたたっ!
おばあちゃんはわたしの右の耳を掴むと、そのまま階段を上がっておばあちゃんの部屋までわたしを引っ張っていったわ。
「おばあちゃん、わたしどうしたらいいのか……」
またしてもおばあちゃんのビンタが炸裂した。こんどは左のほっぺたに。目から星が出るんじゃないかと思うくらい強烈だったわ。
「何をするのよ、おばあちゃん!」
わたしは悲しいからなのか痛いからなのかよくわからない涙をポロポロを流しながらおばあちゃんに言ったの。
「何をするのかだって?右の頬を打ったら左の頬を打てって、おまえたちの好きな邪教の経典に書いてあるんじゃないのかい?!」
おばあちゃんは凄い剣幕でまくしたてて更にわたしに追い打ちをかけていったわ。
「それにいつまで泣いてるんだい。おまえのやるべきことはかわいい弟を捜すことなんじゃないのかい!おまえは偉大な魔女の娘の娘なんだよ!」
は?おばあちゃん、今なんとおっしゃいました?魔女?まじょ?マゾ?いや、サドでしょ、おばあちゃん!
「も、もしかして昔この家に住んでいたお金持ちの家族に呪いをかけた魔女って、もしかして……」
「あたしだよ。あれは確か、あんたの母親を産んだときだったかね。こともあろうにあの男はなんて言ったと思う?
『おめでとうございます。神の祝福とご加護を』なんていう呪いの言葉をあの子に投げかけたんだよ。
だからあたしはあの男に仕返しの呪いをかけてやったんだよ」
嗚呼、今明かされる驚愕の真実。ご近所さんに呪いをかけて家族を皆殺しにし、彼らのお屋敷をタダ同然で買い叩いたのはわたしのおばあちゃんだったとは!しかも、魔女だったなんて!
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