第ゼロ章 偽物
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第ゼロ章 偽物

風が強い屋上。 冷えた灰色のコンクリート。 寒い世界の中、俺は一人小さく呟いた。 「もう、無理だ」 知ってしまった。家族の事も、友達の事も。 俺が知ってはいけなかったんだ。みんなが内緒にしようとしてたのに。 こうなるって、わかっていたから。 「ごめんなさい」 この謝罪は、家族、友人、内緒にしてくれていた人への謝罪。 「許さない」 これは、俺への言葉。 大人がしていることには何か意味がある。それを知っていたのに。 「ごめんなさい」 謝っても謝りきれない。頬に伝う涙。 「……っ!」 なぜ、泣いているのだろう。 なぜ、悲しいのだろう。 なぜ、死にたくないと思うのだろう。 全部自分が決めたことなのに。 未練がないのか?と聞かれたら未練はある。俺の趣味のこと。友達の事。家族の事。 もし、俺が生きようとしていたら未来はどうなっていたのだろう。 そんなことを考えてしまう俺はおかしいのだろうか。
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