優しい貴方にお返しを

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「先輩、先日はありがとうございました」  周りに人が居ないタイミングを見計らって、先輩の机まで早足で近づき声をかけた。 「おおニ(につか)、この前は楽しかったよ。いい食べっぷりで驕り甲斐があった」  そういって屈託のない笑顔を私に向ける。  あぁ、この笑顔いいなぁ……。 「それでその……お返しというか、お礼というか」  後ろ手で隠していた小箱を、先輩の目の前に差し出す。 「もし良かったら使ってください」 「そんな気を使わなくていいのに。僕が勝手にやったことなんだから」  最初は遠慮していた先輩だが、私の顔をみて気持ちを汲んでくれたのか、素直に受け取ってくれた。 「ありがとなニ塚。家に帰って開けるのが楽しみだ」  微笑む新山先輩に釣られ、私も口元が綻んだ。
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