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彼女は、店の主に代金を手渡すと、満ち足りた気分で、人形とともに家に帰った。
そして、彼女は、人形を部屋の本棚の上に飾ると、それを毎日眺めていた。──我ながら、良い買い物をしたものね。
しかし、愛らしく思っていたのは初めの頃だけで、次第に、その妙な生々しさが不気味になってきた。部屋中、何処にいても何をしていても、人形の視線を感じてしまい、落ち着かない。ついに彼女は耐えかねて、人形を新聞紙に包むと、ゴミ袋に入れ、捨ててしまった。──これで、一安心ね。
しかし翌朝、目を覚ますと、何事もなかったように、人形がいつもの場所に佇んでいた。
(──そんな、何かの間違いよ。捨てたつもりが、夢でも見ていたんだわ。)
そして彼女は、再びゴミの日に人形を捨てた。しかし、捨てても捨てても、翌朝になれば、やはり人形は元の位置に戻っている。彼女は、気の狂いそうな心地になった。
(──何なのよ!もう、帰ってこないで!)
彼女は人形を乱暴に掴み、山の奥地まで車を走らせた。スコップで地に穴を掘り、人形を埋める。
(……ここまですれば、流石に大丈夫だろう。)
そして、翌朝になっても人形は帰ってこなかった。──ようやく平穏が戻ってきた。彼女は胸をなでおろす。
しかし、さらにその翌朝──
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