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なんだか、前にもこんなことがあった気がする。家に来てくれた友人に、「素敵な絵だね。」と壁を指さされて、そういえば其処に絵を飾っていたな……なんてことに気が付いた。自分の家にずっとある物って、慣れ過ぎちゃうのかな、案外、見えなくなってくる。他人の家だと、あれこれ気が付くのに。不思議だなぁ。でも、たまにこういう発見があるから面白いものだ。
──家中、じっくり見て回れば、他にも何か発見があるかもしれない。
暇を持て余していた私は、そんな思いつきのもと、全ての部屋を探索することにした。
すると、本当に色々な発見があったのだ。
──洗面所の壁紙。無地だと思っていたそれには、よく見ると淡い花柄が描かれていた。
──書斎。三年も前のカレンダーが、壁の一箇所に掛けっぱなしになっていた。
──リビングに飾ってある人形。ただの人形だと思っていたけれど、ゼンマイが付いている。巻いてみると、聴いたことのないメロディーが鳴り出した。どうやら、オルゴールだったようだ。
私は、新しい発見の数々を楽しんだ。住み慣れた家、住み慣れた部屋。でも、よくよく見れば、新鮮な驚きに出会えるのだ。
──最後に見たのは、物置部屋。ここの棚には、使用頻度の少ない衣類や食器類が収納されている。そして、床には、折り畳み式のテントや、旅行用キャリーバッグなど、かさばりがちな様々なものが、所狭しと置かれていた。それらを一つ一つ、観察する。
「──つかぬ事をお伺いしますが、あなたはいつから其処に?」
私は、布を被ってうずくまる知らない人物に向かって、そう尋ねた。
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