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嵐の正体(オスカル)
目が覚めると、朝から幸せな拷問が待っている。
綺麗な体を無防備に晒す愛しい人の寝姿は凄艶としか言えず、かといって手を出そうものならば甘い時間は途端に説教になってしまう。
眺めるだけ……少しだけ昨夜の情事を思い出してもみてニヤけるのが精々だ。
そうしているとゆるゆると目が開いて、綺麗な緑に明るい黄色を混ぜたような瞳がぼんやりとこちらを見る。寝ぼけ眼がトロッと笑みを浮かべるのなんて、思わずキスしたくなる表情だ。
「おはよう、エリオット。体、大丈夫?」
「おはようございます、オスカル。大丈夫ですよ」
ほんの少し掠れた声と、ふわふわっとまだ寝ぼけたままの緩い笑み。
今日から毎日この甘い地獄を味わうのかと思うと、五回に一回くらいはお叱りを受けても襲ってしまいそうで心配なオスカルだった。
ローベルクの街を出たのが朝食後すぐ。
そうして二人で馬を並べて王都へ戻る道中、ふと昨日の二人組を思いだした。
奇妙な感じがどうしても拭えない。普段からカールの側について貴族やなんだを見ていると、どうしても気になる違和感のある二人組だった。
「そういえば、昨日の二人も王都に向かっているのですよね?」
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