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エリオットも同じ事を思いだしたのか、ふとそんな事を口にする。チラリと視線を向けたオスカルは頷いた。
「みたいだね」
「道中、お会いするかもしれませんね」
確かに王都に向かう街道は同じだから、会ってもおかしくはない。休憩所だってある程度限られるだろうし。
でも、出来れば会いたくない。どうしてかと言われると困るが、直感的にあの二人には会いたくないのだ。
それでも、遅かれ早かれ会うような気がしている。新しい嵐の予感がするのだ。
「会いたいの?」
「ラティーフさんの足、大丈夫かと。あまり痛そうにはしていませんでしたが、長い道のりの間ではわかりませんし」
「あぁ、そっちなんだ」
騎士団を離れてもエリオットはやっぱり医者なんだ。あんな、ちょっと関わっただけの相手を心配している。
自分が偶然治療しただけの相手を案じて憂い顔をするエリオットの優しさや使命感を誇らしく思うと同時に、二人でいる時はそんな事を思わなくてもという醜い嫉妬も僅かにある。どうしても彼に関しては小量になってしまう自分がいて、オスカルは反省気味だ。
そろそろ昼食をどうしようかを話し始めた頃、突如街道の横から一頭の馬が走り込んできた。すぐにエリオットが馬を追い、手綱を引いて止める。オスカルは馬が出てきた脇の林を睨んだ。
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