嵐の正体(オスカル)

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「現在サバルド王国は、内戦の只中にあります。旧王朝派は勢いを取りもどし、現王家を脅かしております。一番上の兄は流行病で、二番目の兄は旧王朝派の手にかかって死にました。私まで死ねば、王家が潰えます。故に、逃れてきたのです」  ラティーフの金の目が、オスカルを見る。そして丁寧に頭を下げた。 「ようやく落ち着いたこの国に争いの芽を持ち込んだ事を、申し訳無く思います。ですが帝国しか、もはや頼るところがないのです。どうか、よろしくお願いします」  さて、どうしたものか。オスカルは軽く頭痛がするのを感じながら、それでも彼を放り出す事もできず、ただ息をつくのだった。
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