結婚祝い(エリオット)

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 ジャミルは僅かに瞳を伏せて首を横に振る。半ば諦めているという様子だ。 「分からない。だが、いてくれればと思ったのだ。そうした特徴の人物が他国に逃れたという噂があるのだが、確証は何一つないんだ」 「そう、ですか」  グリフィスと目の前の男は特徴が似ている。サバルドという国の特徴らしい。ただ瞳の色だけが違う。 「妙な事を聞いてしまった、忘れてくれ」  苦笑したジャミルはそれ以上は何も言わない。ただ静かに瞳を閉じて、やがて寝入ってしまった。  意識も回復したのなら一般の病室で構わない。ジャミルを運んで出てくると、部屋の前にオスカルがいた。 「お疲れ様。今日は慌ただしかったね」 「お疲れ様です、オスカル」  新婚旅行として取った日程は明日までだが、もう少しゆっくりするはずだった。それが消えてしまい、お互いに苦笑が漏れる。 「ジャミルは平気?」 「えぇ。ラティーフさんは?」 「部屋に案内した。事情、聞いた?」  エリオットは静かに頷く。そして部屋に戻りながら、互いに得た情報を交換しあった。 「やっぱり、グリフィスに関係ありそうなんだ」  話を聞いたオスカルが難しい顔をする。エリオットもまた、同じような顔をした。     
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