嬉し恥ずかし結婚式(エリオット)

9/9
331人が本棚に入れています
本棚に追加
/71ページ
 両家の人達が一言ずつ声をかけて出て行く。そうして部屋に残ったのは、エリオットとオスカルの二人だけだった。 「エリオット」  呼ばれて向き直り、しっかりとオスカルを見る。  いつもとは、視線の意味合いが違う。柔らかく微笑み、しっかりと見据えるオスカルをドキドキしながら見ている。  今日、この人と正式に夫婦になる。 「今日、式で証明書に署名して、証人してもらう。そうしたら、僕達は正式に家族になる」 「はい」 「……後悔とか、しない?」  ほんの少し不安そうに言うオスカルに、エリオットはゆっくりと首を横に振り、柔らかく微笑んだ。 「しません。貴方と、ずっと一緒にいたい」  改めて伝えると、オスカルは嬉しそうに笑う。  距離が自然と近づいて、互いに抱き合って。そうして互いの体温を感じている時間が、とても幸せに思えた。 「エリオット、大好きだよ。これからも僕の側にいてほしい」 「はい、オスカル。私も、貴方の事が好きです」  日の光の入る控え室、二人だけの空間。そっと寄り添ったまま、二人は気持ちを確かめ合うように柔らかくキスをした。
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!